思えば、私は持っている詩集が少ない。付き合いで買う詩集はあるけれど、それを除いたら数人の詩人しか買ってない。今日はその詩人のいい詩を語る。
①高村光太郎「五月のアトリエ」
今読み返して何がいいのかわからないけど、確か「芸術に対する眼差し」に光るものがあるな、と思いお気に入りだった。読めばタイムスリップして、私が学生の光太郎になる。
②茨木のり子「りゅうりぇんれんの物語」
長い。読めば必ず涙する。漫画タッチの登場人物。岩橋良昌みたいなりゅうりぇんれん。
③北原白秋「あかんぼ」
短い。短いのにオチがある。好きなものしかこの詩の中に出てこない。
④松下育男「初心者のための詩の書き方」
長い。しかもどこも力が入っている。見逃せない。でもこれを一度経験するとしないのとでは大きな差がある。
⑤柴田聡子「しんけんなひとり」
これ詩集って言うのか?と思うけど詩集をちゃんと出してるので。しんけんなひとりっていう言葉がもう好き。ひとりをやるときしんけんなんだよね。
⑥寺山修司「墜ちた天使」
寺山修司好きなので読めばおのずとインプットされてると思ったらとんでもなかった。全然覚えてない。高村光太郎はわりと覚えてたのに。
⑦平出奔「了解」
短歌じゃないか!詩集じゃないじゃないか!と言いますか?好きな一首載せるので勘弁を(平出サイドからしたら商売あがったりだが)
〈このまま世界は終るんだよ、とか言われたら信じちゃうなあすごい寒いし〉
⑧モリマサ公「やっぱチョッパーすね」
本当は付き合いで買ったようなもんだけど、クオリティが高すぎて、さすがに組み込みます。この詩の令和っぽさのようなテン年代っぽさのようなもしかしたらえいえんの天然日本色だったりするのがたまらなく好きです。
⑨黒田三郎「僕はまるでちがって」
私の心の中の師匠は黒田三郎と据えていて、ハードボイルド的な、ロッカー的な詩をやりたいと思っている。この詩は私のルーツである。高校三年生の秋、統合失調症になって人生絶望していた時に、家の周りをあてどもなくさまよっていると、紋白蝶がわたしのくちびるにキスをしたのである。それ以来、紋白蝶が私のシンボルになっていて、この詩は紋白蝶の詩である。だから黒田三郎が好きだし、黒田三郎のようなことを目指している。
昔から言ってるようなことしか今日の記事には書いてないが、まあ楔にはなるだろう。