文字狂い

オタクにもサブカルにもなににもなれずに死ぬ

今年読んだ本を語る

今年読んだ本を思い出します。

①幸福論 (角川文庫)/ぼくが戦争に行くとき-反時代的な即興論文 (中公文庫)/誰か故郷を想はざる (角川文庫) 寺山修司

これは今年と言うか去年読んでたに入るが、2022年は寺山修司yearsだった。寺山修司の本は一貫性というのはあるようでなく、断片的な語りだと思うのだが、幸福論では「クリトリスを斬られるアフリカの民族の女の子」という話で、クリトリスを斬り取られた女の子について思いを馳せていたが、そういう美徳を強いているのだろうなと思った。美徳を強いるのは2020年にはない思想だろうな。

寺山修司戦争論は、誰か故郷を想はざるのほうが思想的に強かった。わたしが大好きな話、ションベンの話がある。

タモリ学 戸部田誠

去年上京して、2か月で帰福したという実績があるのだが、なんで帰福したかってバイトに受かんなかったし、就労支援とかのシステムをわかってなかったというのがある。バイトが決まんなかった時に、とにかくトリプルファイヤー吉田を恨んだ。お前みたいなカスでもバイトは手に入るのになぜわたしにバイトが手に入らないんだと思った。怒りはとばっちりして最近(つっても去年までですけど)トリプルファイヤー吉田を可愛がったタモリに飛び火し、タモリの悪口を言ったら、タモリ俱楽部がなくなってしまったので、焦ってこれを買った。講談社学術文庫でもタモリ論は売られているが、あれは本当に糞詰まんなかった。やっぱバラエティを語らせるならラリー遠田とかうさんくさい、というかなんも信用されてない作家よりは、その他の何よりも、戸部田さんの文章が「最善解釈」だと思う。

③彼女が言わなかったすべてのこと 桜庭一樹

いつ出したかはいわないとしても、ファンレターで桜庭一樹に「小説でわたしのことを書いてください」と言ったのだが、これで書いたことにしてるのかな???と思った。桜庭一樹にファンレターを書いたあの頃はまさか自分が寺山修司をやることになるとは思ってもなくて、寺山修司としての自覚をした今となっては、桜庭一樹にわたしを描いてくれという注文は、2周くらい回って失礼に値するな……と思ったけど、まあ実際読んでみて、小説的手法の画期的提案を打ち出したいという野心は光っていたけど、やっぱ桜庭一樹は親が死んで体力的にまいってるのかなと思う。野心が描き切れてなかった。桜庭一樹を癒すにはわたしが桜庭一樹を描くしかないと思う。なぜなら小説内で、もう登場人物の顔を捨てて、作者の叫びが顔を擡げていた。この子じゃなくて、誰でもない、私を描きたいのに、そうできない、みたいな叫びを感じて、じゃあ、もっと桜庭一樹はヒントを正式な媒体(嘘のつけないメディア)で出してほしい。そしたら、桜庭一樹を描くぞ!と思う。その際、「少女を埋める」はナシなんですか……?という疑問はありましょうけど、なんかそれを餌にしてもいいことないでしょ。

④激ヤバ 伊藤幸司

ランジャタイは複数層の文化なので、一面的なテレビの観方をしても、やっぱり伊藤ちゃんがどういう人なのかというのはわからない。わからなくても、ランジャタイは国崎が暴れれば面白い。本当は国崎を自由にさせていく伊藤ちゃんの権限執行がないとここまでキレのある面白さはないのだけれど。伊藤ちゃんって、暗がりに咲く貧しいタンポポみたいな人なんだなと思った。主人公になりたいけど、財産がない。だけど、主人公になりたいから、たくさん思想を深めて、正しい明るさを備えてはいるけど、なにが彼を遮って光を奪うのか。これを読んでもさらにわからない。でも、国崎ってめっちゃ伊藤ちゃんの少ない財産だよねーと思った。

⑤へんなの 国崎☆和也

ランジャタイの頑張れ地上波で、伊藤ちゃんが国崎に哲学の本を借りたら、国崎が気に入らないと思われる箇所に鼻くそがついてあったみたいな話をしていた。国崎にダーティな部分があるとしたらその程度で、まあ要は代々からの職人なのだろう。あとダーティなところといえば初体験がダッチワイフであるところくらいか。……本当にお前はこの本を読んだのか。

⑥旅する練習 乗代雄介

芥川賞という価値というのは、画期的な発明に与えられるものだと思うが、この作者はいっつも芥川賞にノミネートされている。流行ってんのかなと思って読んでみると、この本を読むと無性に小説というかブログでもいいけど、とにかく文章を書きたくなる。

⑦エモーショナルきりん大全 上篠翔

この作者は大変ツイートが面白いのだが、その1ツイート100くらいの価値があるとしたら、短歌には30~50くらいの読書的価値だった。まあ、短歌ってそういうもんでしょ? みたいなことを言われても、「いや、読む無なんて最初から要らねえわ」と思った。

⑧聖少女 倉橋由美子

主人公が血気盛んに「近親相姦、するぞ~!」と言ってる小説で、結局、好きな人から興味を抱かれたいがための丁寧な嘘でした~みたいな話なんだけど、桜庭一樹「私の男」を読んでしまうと、えらくこの話が小物のように聞こえてしまう……権威ある小説なのだろうけど、そんなでもなくない?と思うけど、かといって、「私の男」が名に残ったら大変だしなあ……

⑨蛍日和 小谷野敦

ツインレイは、小谷野敦は小説を書くのが下手だから文化的価値があるんだ、と言っているが、わたしは小谷野敦のことをツイッター以外に購読してないので、やたら文壇の悪口は言うけど小谷野敦は実際どんな人なのかというのはわからず、結婚は2回してるというのもWikipediaで知ってはいるけど、私小説を見る醍醐味って、どこまで嘘か本当かみたいなところがあるけれど、たまたまわたしの知り合いにほたるって名前の美人局がいたので、小谷野敦はそいつに食われたんじゃないかと心配になったことはある。小谷野敦の文章の魅力は、読んでもそれが果たして本当なのかが温度として手ごたえとして測りきれないところにある。幻肢痛と言って、タバコを吸わないと逆に呼吸困難になるみたいな話は、何かの比喩ですか?と訊きたくなるけど、小谷野敦はヒントを配るような慈悲のある人ではないので、読んだままに、感じたままに、読むしかないのである。ほたるって名前は嘘ですよね?

北原白秋歌集

なんか、詩人として名前が売れちゃったので、せめて福岡の詩人をリスペクトしないといけないと思い、夢野久作とか読んでるけどなかなか読めない。北原白秋も、読むのに悪戦苦闘していたが、この詩はお気に入り、この詩はいまいち、と割り切って読むようになってから、さくさくと読めた。赤ん坊のちんぽこの詩が好き。

戸川純の人生相談

YouTubeでたまに見てるけど、本にされたら本にしたほうが読み応えあると思い購入。でもやっぱYouTubeで見た方がいいのかな?

⑫終わりなき日常を生きろ 宮台真司

今更?って思うけど、確かこの時原子力発電の件で宮台真司がバズってたので、この人の言ってることのもっともらしさはどこにあるんだろう?と思い、まず初バズの本を図書館で借りた。薄い本だけど底までたどり着くのに苦労した。いろいろ所感をメモっていたが、前のアカウントが凍結されたのでお陀仏となった。一番思っていたのは、この本を描いた当時宮台真司は、この世界の生きづらさをアメリカのせいにしていたけれど、実際は今日わたしの詩でわかるように圧倒的イニチアチブの日本が齎した空気読めとか察しろとかの文化による脅威が原因となったわけ。この本を出したことを宮台真司は多分反省していて、回心して、今はインターネットの法皇になっている。

⑬きれぎれのダイアリー 柴田聡子

柴田聡子の曲を聴くたびに「これはすばらしい文才だ」とか思ってたけど、意外と世の中をしっかり生き抜いている遊び娘なんだな~と思った。中島みゆき的な信心はない。

⑭渡辺玄英詩集

読むのに1か月くらいかかった。セカイ系というのは、感覚としてはぬるま湯につかっているとは思っていても、那由他くらいの時間を過ごしている。その感覚を絶妙にとらえたのは作者が僧侶だからなのだろう。あとがきとか解説とかが一番面白かった。

⑮しろいうさぎを狩る者たち 渡辺玄英

これは1時間で読めた。意外と学術的な話になった。涙が出そうなくらい、詩集内の空気が澄んでいて、寒くて、じんわりと癒された。

⑯さみしいときは青青青青青青青 ――少年少女のための作品集 (ちくま文庫 て-6-4) 寺山修司

読んだらわかるけど、寺山修司生きてるって。88になっても、こんなにポエジーがあっていいんだ。

⑰蜜の味 壇蜜

なんとなくブックオフで買って5年くらいして読んだけど、壇蜜は自分のことおしとやかと思ってそうだけど、ザーメン飲む人ってふしだらだし、それを実践してくださいねって言うのは、まあこの規模の安いムックだからできたんだろうね。