文字狂い

オタクにもサブカルにもなににもなれずに死ぬ

自撮者たち リメイク

まずい、と思った時にはもう撮られていた。私がマンションの一室でシーツにくるまり、さっき公園で刈ってきて硬くなった男性器を秘部にあてがって絶頂しているところをパパラッチに撮られてしまった。

男性器の持ち主はてっぺんが禿げたおっさんで、落武者みたいだった。ちなみにもがれた男性器はぷよぷよしていて、触ると張りつめて硬くなって、しばらく触り続けたら白い液体が出る。おっさんは私のことを「可愛いお嬢ちゃんだね~」と言って、公園のベンチで相席するとたちまちいいムードになり、「何してるの?」「アイドルやってる」とか言って会話して、私が落武者にボディタッチを連発していくうちに男性器に手を伸ばし、一番元気のいい時にもぎ取った。落武者は男性器を失うと、一気に萎んでマッチ棒の大きさになった。

私はももクロくらいの人気で、素行の悪さを必死に事務所がもみ消している感じのアイドルで、週末にはレギュラーのバラエティ番組のコーナーでなんちゃってプロレスをやっている。そこで私はいつも他のアイドルの黒い噂を暴露してばっかだったのだが、今回はさすがに事務所も隠し切れないしプロレス案件確定かと思った。

「ねえ、ピーター、どうすればいいの?」

私はマンションに引っ越した時から備え付けのベッドのマットレスの染みになっている意識に話しかけた。染みはにょろにょろ動いた。

「決まってるだろ。お前は処刑される番だ」

「そんなあ。私ちんちんぶら下げながら戦わないといけないの」

「お言葉を返すようだが、今もちんちん、ついてるぞ」

私は自分の股間を見た。落武者の男根が私のパンツにくっついてる。

「そんなあ。今からピーターと息抜きできないじゃん」

「僕だって悲しいよ、ウエンディ。でもこの落武者、活かせるんじゃないのか」

バラエティー番組の収録当日。私は落武者のちんちんをぶらさげたまま、プロレスに臨んだ。

「あ、こんにちは~。なんか元気ないですけど、大丈夫ですか」

みんなちんちんに気づいていない。志村けんの白鳥をやっているわけなのだが。撮影前に台本を読むと、案の定私のパパラッチについて審議するようだった。この番組では、異性と噂になったアイドルはここで瞬間美容整形手術をすることになり、10分で汁男優がさげていた男性器を切り取って装着することになる。そのちんちんがこぼれそうなビキニをつけて、寝技を決められる。要は、AV堕ちよりインスタントにかつ映える禊をやるのがこの番組の定番というわけ。

私が処刑者になってしまうからにはどんなことを尋問されるのだろう。

「ウエンディ、今日は何をするかわかってる?」

「ええ~わからないですう~」

「この写真、見えるかな。ウエンディ、公園にいて、ベンチに座って、男の人の股間をまさぐっているのね。次の瞬間男性器をもぎとったね。それが今腰にこさえてるちんちんってやつなんだな」

「まあ。その通りですう」

「どうする?ちんちん追加する?」

「そんなの私が決めていいんですか?」

「じゃあ、ディレクターに聞くか。要ります?要る!わかりました。さて、隣の部屋に移動して手術してください」

「わかりました~」

私は手術して、さらに4本の陰茎が取り付けられた。重い。汁でパンパンだ。きんたまは10。いつまででも白い汁が出ちゃいそう。その体たらくでピチピチビキニを着る。こんなの羞恥心の他にないだろう。

私はリングに上がった。我慢汁でビキニをびちゃびちゃにしながら、年上の女子プロレスラーに寝技をかけられて、死ぬ思いをしながら股間はギンギンだった。ちょっと触れただけで熱くなってしまうけど、こんな恥ずかしい姿を全国放送生中継で届けられて、絶望的ではあった。こんな姿は、ほんとうにこの卑猥な花は、ピーターにしか見せてなかった。私はピーターが人外であったとしても大好きで、一生逆らわずに生きると決めている。だけど、ピーター以外の男の人に犯されているような気がして、ちんちんに何かが触れるというかちんちんどうしが擦れあってるだけでもたまらないのだが、そこでイっちゃったら私は落ちるとこまで落ちたなと思うので、まあアイドルやってる自体堕ちてるようなもんだけど、そこだけはお願い!と思って、寝技に苦しんだ。

リング状にピーターが移動してきた。

「僕のウエンディ、マイスイートハニー、よく頑張った」

「ピーター、あんたが今来てもどうしようもないよ」

「僕のシーツの裂け目を割いてごらん」

私は4の字固めをされている最中、リング上でピーターのシーツを破った。中にはドクドクした紫のような虹のような蜷のような闇が見えた。

「プロレスラーに、ちんちんをもぎ取ってもらって、この中に入れるんだ」

「わかった!」

私はプロレスラーに煽っていった。プロレスラーの彼氏の携帯番号を叫んで、腰をフリフリして、ちんちんを指さして「かかってこいや」と言った。プロレスラーの彼氏は汁男優なのである。たぶんこのちんちんのどれか。

煽られたプロレスラーは私のちんちんを握りつぶし、プチプチと引きちぎった。かなり痛かった。そのちんちんを虚空に投げつけた時、ピーターは平行移動して、シーツの裂け目の深淵に入り込んで、見事成仏した。

「ねえ、ピーター。今全国放送だよ。私たちの愛、誓おうよ……」

「ごめんよスウィートハニー。僕はもっと業の狂った女のところに行くよ。このコーナーで取り上げられたアイドルはみな浄化するんだ。僕はもっと性器中毒の女の子の寝床を癒しに行くのさ」

「そんなこと言うなら知らない。私明日からドヤ街に繰り出してホームレスの陰茎もぎ取り続ける。ピーターあなたは私にとっくに深い業を課したわ。あなたのこと好きだもの」

「僕の本当の正体を知らないだろう。僕は汚い出自の神様なんだ。神様だから、人にいいことも、悪いことも、しないんだよ。しいて言うならば僕は性格的にメフィストだと思うけど、そういうわけで、君の利益になることはビタ一銭もしないんだ。それがモットーなんだ」

「ピーター。それなら、あんたのおちんちんを頂戴。そしたらあなたのと一生一緒に過ごしていけるわ」

というわけでわたしはピーターのちっちゃなちっちゃなちんちんを手に入れて、それを陰核の近くに添えた。イク時はいつでも一緒である。でもピーターがいなくなってから、ピーターのおちんちんから液体のりみたいな透明なゼリーしか出てこなくなった。これはピーターのダミーの肉体なのかもしれない。

私はその一件以来男性と縁がなくなり、アイドルなんかとんでもないくらいにおばさん化がすすみ、ころころと肥えてしまった。ピーターの面影を探しながら、今日もレジを打つ。